2019年5月27日,米AMDで社長兼CEOを務めるLisa Su(リサ・スー)氏は,COMPUTEX TAIPEI 2019で基調講演を行い,その中で同氏はTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.、中国語正式社名:臺灣積體電路製造股份有限公司)の7nmプロセスで製造される「Zen 2」コアを用いた12コアのプロセッサ製品最上位CPUの「Ryzen 9 3900X」を発表した。Intelを覇者としてきた世界のCPU市場が塗り替えられる公算が大きい。
発売は今年7月7日、つまり、七夕。Zen2をベースにしており、7月7日発売というのは、七夕を意識したものであると思われる。CPUのアーキテクチャにZenという名前をつけたこと言い発売時期と言い、いずれも東洋文化・文明を大事にしていることの表れだろうか。
リサ・スー氏(米国はマサチューセッツ工科大学=MIT=出身)は、10nmベースのIntelの競合製品Core i 9-9900シリーズ(Intelは10nmで製造するice lakeシリーズを今秋にも投入するが、基本的にはノート・パソコン用)に対する優位性に自信を示し、➀製造プロセス(7nm)②IPC(言わば、1サイクルあたりの命名数。高ければ高いほど、構成コアの性能が優れていることを示す。Ryzen3000シリーズは、従来製品より15%向上)③消費電力(製品によって最大電力は異なるが、いずれもRyzen2000シリーズの対応製品よりも低く抑えられている)④キャッシュメモリーの増強-など、すべての点において、性能を大幅に向上させたと自信を示している。
最上位モデルの「Ryzen 9 3900X」は取り敢えず、Ryzenの第3世代の主力製品となる新製品で、新たなアーキテクチャ「Zen 2」をベースに採用する12コア/24スレッドのCPU。競合製品であり、同じく12コア/24スレッドのIntel「Core i9-9920X」とBlenderレンダリングのパフォーマンス比較をした結果16%以上、上回ったとしている。
同時に新GPU「詳細は追って追加したい。
Ryzen300シリーズのラインナップ(製品系列)は次の通り。
Ryzen 3000 series CPU(7nm / Matisse / SocketAM4) | ||||||
MN | コア数 スレッド数 |
定格周波数 Boost時周波数 |
キャッシュ | TDP | 対応メモリ | |
Ryzen 9 3900X |
12-core 24-thread |
3.80GHz Boost 4.60GHz |
L2=512kB x12 L3=64MB |
105W | 2ch DDR4 -**** |
’19/7/7 $499 |
Ryzen 7 3800X |
8-core 16-thread |
3.90GHz Boost 4.50GHz |
L2=512kB x8 L3=32MB |
105W | 2ch DDR4 -**** |
’19/7/7 $399 |
Ryzen 7 3700X |
8-core 16-thread |
3.60GHz Boost 4.40GHz |
L2=512kB x8 L3=32MB |
65W | 2ch DDR4 -**** |
’19/7/7 $329 |
Ryzen 5 3600X |
6-core 12-thread |
3.80GHz Boost 4.40GHz |
L2=512kB x6 L3=32MB |
95W | 2ch DDR4 -**** |
’19Q3 $199 |
Ryzen 5 3600 |
6-core 12-thread |
3.60GHz Boost 4.20GHz |
L2=512kB x6 L3=32MB |
65W | 2ch DDR4 -**** |
’19Q3 $199 |
ただし、これ以外にもRyzen 3とかの製品の投入はあり得る。もっとも、鳴り物入りで噂されていた16コア/32スレッドのRyzen3000シリーズの発表はなかったようである。Intelが新製品を発表・投入した際、すかさず投入する可能性はある。
また同時に発表された新GPU「Radeon RX 5700」は、今後何年にも渡りPC、コンソールおよびクラウドゲーミングを牽引するよう設計されたアーキテクチャ「RDNA」を採用したGPU。こちらは「E3 2019」にて、日本時間2019年6月11日午前7時からのインターネット生中継で詳細を発表するとのことである。