Zen2アーキテクチャを採用したRyzen3000シリーズが七夕の昨夜、2019年7月7日夕刻から日本でも発売開始になった。これまで、Intel製CPUに比べて貧弱と悪評だった1コア当たりのIPC(Instructions per Clock)がZen+に比べて15%程度向上しているのが特長。中でも、8コア16スレッドのZen3700Xが大健闘しているらしい。
IPCの向上はとても難しい技術で、AMDがIntelの後塵を拝する主要な原因になってきた。Zen2アーキテクチャではここに最大限注力したようで、既に開発・製造のサイクルに入っているZen3アーキテクチャではさらなる向上が主眼になっていると思う。
Ryzen3000シリーズと国内外の価格を示すと、次のようになる。
モデルナンバー | プロセスルール | コア数 | スレッド数 | TDP | 動作周波数 | 合計キャッシュサイズ | 内蔵GPU | PCIe 4.0 レーン(X570利用時) | 税別予想価格(発表時価格) | 提供時期 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 9 3900X | 7nm | 12 | 24 | 105W | 3.8GHz~4.6GHz | 70MB | - | 40 | 5万9800円(499ドル) | 7月7日 |
Ryzen 7 3800X | 7nm | 8 | 16 | 105W | 3.9GHz~4.5GHz | 36MB | - | 40 | 4万6980円(399ドル) | 7月7日 |
Ryzen 7 3700X | 7nm | 8 | 16 | 65W | 3.6GHz~4.4GHz | 36MB | - | 40 | 3万9800円(329ドル) | 7月7日 |
Ryzen 5 3600X | 7nm | 6 | 12 | 95W | 3.8GHz~4.4GHz | 35MB | - | 40 | 2万9800円(249ドル) | 7月7日 |
Ryzen 5 3600 | 7nm | 6 | 12 | 65W | 3.6GHz~4.2GHz | 35MB | - | 40 | 2万3980円(199ドル) | 7月7日 |
Ryzen 5 3400G | 12nm | 4 | 8 | 65W | 3.7GHz~4.2GHz | 6MB | Radeon RX Vega 11 | - | 1万8800円 | 7月7日 |
Ryzen 3 3200G | 12nm | 4 | 4 | 65W | 3.6GHz~4.0GHz | 6MB | Radeon Vega 8 | - | 1万1800円 | 7月7日 |
性能と価格を考えると8コア16スレッドで低電力のRyzen3700Xがよさげな感じらしい。次のサイト・https://www.4gamer.net/games/446/G044684/20190705008/によると、グラフィック性能を測定する3DMarkでは、Ryzen3700Xが上位製品とIntel競合製品に対してかなりの性能を付けている。
ゲーマーが最重視する3DMarkだが、一般のオフィス、SOHOで重視すべきベンチマークが測定されていれば追加掲載したい。次は、PC Watchサイトの「第3世代Ryzenが驚異的性能でIntelを圧倒。Ryzen 9 3900X/Ryzen 7 3700Xレビュー」に掲載されていたもの。SingleコアではIntelのCPUとどっこいどっこいだが、Multiコアでは「圧勝」の形になっている。ソフト側ではまだマルチコア対応のものが動画編集ソフトなどに限られ少ないが、今後はマルチコア対応のソフトが主流になると見込まれるため、Ryzen3000シリーズの優位性はいかんともし難い。なお、普及価格帯の製品も健闘している。
注目の最上位製品で12コア24スレッドのRyzen3900Xは相対的にパッとしないようだが、最上位製品は9月に発売開始予定の16コア32スレッドのRyzen3950Xだから、おカネに恵まれている自作派はそちらを待つべきかも知れない。
なお、Ryzen3000シリーズ用のマザーボードも続々発売開始になっているが、PCIExpress Ver4.0の規格を盛り込むなど野心的な内容に仕上がっているので、マザーボードの換装をするとかなりの出費を覚悟する必要がある。ということで、金欠病のサイト管理者はB450のマザーボードのBIOSをアップデートすることで対応しようと思っている。ただし、Ryzen3000シリーズ用のBIOSは初物は安定性に欠けるために避け、安定動作を示すようになってからアップデートすべきだ。
なお、Ubuntuのサーバー版は極めて動作が安定しているが(ただし、Intel製のCPU搭載)、Ryzen1700Xを載せたデスクトップ版はしょっちゅうフリーズしていた。部品をいろいろ変えてみて試したが、グラフィック・カードをNVidiaのものからAMD傘下にあるRadeonのもの(画面に写り、それなりに滑らかに動けば良いので、最低価格4000円程度の安物)に取り替えると相当安定して動作するようになりました。